甃のうへ


あはれ花びらながれ
をみなごに花びらながれ
をみなごしめやかに語らひあゆみ
うららかの跫音(あしおと)空にながれ
をりふしに瞳をあげて
翳りなきみ寺の春をすぎゆくなり
み寺の甍みどりにうるほひ
廂々(ひさしひさし)

風鐸(ふうたく)のすがたしづかなれば
ひとりなる
わが身の影をあゆまする(いし)のうへ



「測量船」(昭和5)所収

語釈
【甃】 地面にしきならべた石。
【をみなご】 少女。
【をりふし】 折々。
【甍】 屋根の瓦。
【風鐸】 風鈴の一種。


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